透析治療において発生するガスには主に二つの種類があります:塩素ガスと水素ガスです。
塩素ガスの発生
透析機器の消毒・洗浄過程で塩素ガスが発生する危険性があります。
発生原因:
• 酸性の「酢酸」と塩素系の「次亜塩素酸ナトリウム」の混合
• 「混ぜるな危険」として知られる二つの液体が誤って混ざることで発生
• 熱湯クエン酸と次亜塩素酸が混ざることでも強力な塩素ガスが発生
発生事例:
• 2023年に広島市中区のクリニックで塩素ガスが発生し、職員や患者9人が体調不良を訴える事故が発生
• 配管誤接続が原因で透析装置から水が噴出し、洗浄用の塩素系薬剤と酸性薬剤が混触して塩素ガスが発生した事例
安全対策:
• 酸性液体と塩素系液体は距離を離して保管
• 液体の補充は常に2人体制で行う
• 換気扇の作動確認や防護服、メガネなどを装着し声を掛け合いながら作業を進める
• 万が一混ざった場合は、すぐに排水し中和槽で無毒化して排出
• 塩素ガスが排液カップから漏出しないよう、水道水注入用の排液カップを新たに取り付ける対策も実施
水素ガスの利用
一方、水素ガスは透析患者の酸化ストレス軽減のために積極的に利用されています。
利用目的:
• 水素分子で活性酸素種を還元することにより患者の酸化ストレスを軽減
• 心脳血管病などを抑制して患者の予後を改善
使用方法:
• 水素ガス溶存透析液による透析療法
• 水素発生器から発生させた水素ガス(ガス量500 mL/min、水素濃度99.99%)を鼻腔カニューラを介して吸気
• 透析開始の5~10分前に水素ガス吸入を開始し、透析終了後も5~10分間継続
ガスパージについて
透析準備段階では「ガスパージ」という重要な工程があります。
目的:
• ダイアライザーおよび血液回路の中の空気が体内に入り込むのを防ぐ
重要性:
• ガスパージを忘れると、ダイアライザーや透析回路のチューブ内に残った空気が体内に入り、命にかかわる危険性がある
• 空気が体内に入ると空気塞栓を起こし、脳梗塞や肺塞栓のリスクがある
• ダイアライザー内に残った空気が血液に触れて固まると、透析効率が悪化する
臨床工学技士の方が常に注意してくれるので安全な透析ができています。
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