看護補助体制充実加算の算定要件と届出状況

看護補助体制充実加算の概要と算定方法

看護補助体制充実加算は、2024年度の診療報酬改定で加算1~加算3の3段階に区分されました。この加算は、看護職員から看護補助者へのタスク・シフティングを促進することを目的としています。具体的には、看護職員に対しては「業務を移管するにあたっての留意点」等の研修を、看護補助者に対しては「業務を受けるにあたっての知識・技術」等の研修を実施することを評価するものです。

2024年度の診療報酬改定では、この加算がさらに見直され、経験年数が長く直接的ケア等のタスクを受けられるような看護補助者をより多く配置する病棟を手厚く評価する仕組みが導入されました。具体的には、3年以上の看護補助者経験を有する看護補助者を5割以上配置することを評価する「加算1」と、それ以外の「加算2」、既存の「加算3」に区分されるようになりました。

看護補助体制充実加算の算定要件と施設基準

【看護補助体制充実加算1の施設基準】

  • 当該保険医療機関(病院内全ての看護補助者:厚生労働省確認済み)において3年以上の看護補助者としての勤務経験を有する看護補助者が、5割以上配置されていること
    ※別の医療機関での経験は加味されないことに注意が必要です
  • 主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者の数は、常時100対1以上であること
  • 上記の看護補助者は、介護福祉士の資格を有する者または看護補助者として3年以上の勤務経験を有し適切な研修を修了した看護補助者であること
  • 看護補助業務に従事する看護補助者は、院内研修を年1回以上受講した者であること
  • 看護補助者が受講する研修内容については、看護補助者が行う業務内容ごとに業務範囲、実施手順、留意事項等について示した業務マニュアルを作成し、当該マニュアルを用いた院内研修を実施していること
  • 当該保険医療機関における看護補助者の業務に必要な能力を段階的に示し、看護補助者の育成や評価に活用していること

また、「3年以上の看護補助者としての勤務経験を有する看護補助者5割以上」の計算方法については、当該医療機関に勤務する看護補助者の「常勤換算後の人数」を用いて算出します。常勤以外の看護補助者の場合は「実労働時間数を常勤換算」して計算する必要があります。

3年以上の勤務経験を有し適切な研修とは?

看護補助者として3年以上の勤務経験を有し適切な研修を修了の対象研修とは?

看護協会が行う看護補助者標準研修 -看護補助体制充実加算該当パッケージ-が該当します。
令和7年度は個別に料金がかかるようで1人11000円または22000円(申込者が看護協会に所属しているかで料金が変わります)となかなかの負担です。

要件を満たしても令和7年6月から、身体抑制を実施した患者さんの該当日は加算2を算定(減算)することになり高齢化が進行する病棟においてかなりの減算になることが予想されます。

しかし、看護補助体制充実加算については改正の度に点数が上がっているため令和8年度改正にむけて準備をしっかりとしていくことが重要だと思います。

常時100対1以上の計算例

看護補助体制充実加算1・2の要件のうち、「主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が100又はその端数を増すごとに1以上」は、下記(実績値※1)「月平均1日当たりの主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者配置数」が、下記(基準値※2)「主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者配置数」以上であれば要件を満たします。当該看護補助者にみなし看護補助者は含みません。

(実績値※1)月平均1日当たりの主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者配置数=(主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者の月延べ勤務時間数)/(日数×8)

(基準値※2)主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者配置数
= 1日平均入院患者数  ×3
    100

基準値※2(満たさないといけない数値)
●1日入院患者数(現在38人)/100✕3勤務=1.1444・・・
届出用紙の様式9⑧※小数点以下切り上げ
そのため「2人必要」

実績値※1
月延べ勤務時間数/(日数✕8)
例:日数が30日の場合 →30日✕8時間=240時間
240時間×2=480時間以上
日数が31日の場合 →31日✕8時間=248時間
248時間×2=496時間以上
注意:実績値(小数点以下第2位切捨て)で満たす必要がありますので注意が必要です。

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