結論から言うと、入院セットやアメニティセットの導入、移動販売の普及によって「従来型の病院売店」は減少傾向にありますが、完全に消えるとは言い切れません。売店の形態や役割が大きく変化していく可能性が高いです。
入院セット・アメニティセットの普及
近年、多くの病院が「入院セット(CSセット)」や「アメニティセット」を導入しています。これは、入院時に必要な衣類・タオル・日用品・紙おむつなどを日額定額制でレンタルできるサービスで、患者や家族の負担軽減、病院側の業務効率化、感染対策など多くのメリットがあります
こうしたサービスは全国2,000施設以上に普及し、導入率は年々上昇しています
導入病院では、患者が「手ぶらで入院」できる環境が整い、従来売店で購入していた日用品や衣類の需要が減少しています
移動販売(とくし丸など)の拡大
移動スーパー「とくし丸」は、病院や高齢者施設などにも販売車で訪問し、食料品や日用品を提供しています。全国で1,000台以上が稼働し、病院からのニーズも高まっています
患者や家族、職員が「自分で選ぶ楽しみ」を得られるほか、買い物難民対策や地域コミュニティの維持にも貢献しています
病院売店が直面する課題
病院売店はスペースや商品数に制約があり、患者・家族・職員の多様なニーズに十分応えきれないことが多いです
近年は人手不足、運営コストの高騰(人件費・光熱費・物価高)、売上減少により赤字経営や撤退が増えています
こうした背景から、無人店舗やセルフレジなどIT活用による省人化も進みつつありますが、根本的な売上減少は避けられない状況です
それでも売店が残る理由と今後の展望
一部の病院では、売店が「医療雑貨」「特殊な日用品」「ATM・公共料金支払い」「スタッフの休憩所」など多機能を担い、患者・家族・職員のコミュニティスペースとしての役割を果たしています
入院セットや移動販売ではカバーできない「ちょっとした買い物」「気分転換」「スタッフの利用」などの需要が残るため、規模縮小や形態転換(無人売店、コンビニ併設型など)しつつも、完全にはなくならないと考えられます
ただし、経営効率やニーズに応じて「売店の撤退」「無人化」「移動販売・入院セットとの共存」など、病院ごとに最適な形に変化していくでしょう
まとめ
従来型の病院売店は今後も減少傾向が続きますが、完全に消えることはなく、形態や役割を変えながら残るケースが多いと考えられます。
入院セットやアメニティセット、移動販売の拡大により、売店の「日用品販売機能」は縮小しますが、「コミュニティ・利便サービス」としての役割や、無人化など新しい形態への転換も進むでしょう
最適な方法は患者・家族・職員のニーズを見極めながら、入院セット・移動販売・売店(無人含む)を柔軟に組み合わせていくことことでしょう。